くまもと
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2023.03.13

植林ツアーのご報告②

植林を終えると私たちは山鹿市内に移動し、昼食は横手会館さんへ。山鹿は馬刺しが美味しいですねdaisuki
              

この後、山鹿市内散策ですがrunner、まずは八千代座へ皆さんご移動いただいて、ここからは会員である野中建設の野中社長が案内して下さいました。野中建設様は、この八千代座の大型改修に携わっておられましたので、今回特別に普段見られないようなところもご案内いただけるという事で、お客様の中にも楽しみにしていた方が多くいらっしゃいましたheart

 明治44年に建てられた八千代座は幾度と改修をしながら、山鹿の文化の中心として親しまれてきましたが、昭和40年代になり、娯楽も変化する中で閉鎖に追い込まれていきました。老朽化が進む中、昭和61年に復旧活動が始まり、「瓦1枚運動」などの募金活動を基に改修工事が始まります。平成8年から5年の歳月をかけて大修理が行われ、一番賑わった大正12年頃の姿に復元されました。pachipachi

 中に入るとまず入口の上を見上げます。そこには大きな番付け表のような板が掛けられており、1枚は明治44年当初のものだそうで、文字は細かい上に薄くなっており、私には読めませんでしたが、当初の出演者の名前が書かれているのだそうです。因みにこの板は欅だそうです。その背後には、切符を購入する窓口だったという、木で作られたアーチ形の小窓があり何とも素敵ですeye_heart

              

 会場の中に入ります。花道の途中には、「すっぽん」と呼ばれる(地下から主に悪役の役者さんが上がってくるところだそうですが)上を歩いて、正面の舞台へ向かいますcatfootprint 正面の桧舞台に上がると、大きな円形の廻り舞台があります。この舞台は、地下・奈落(ならく)にある「舞台迫り」によって、4人の人力で廻しています。舞台の床は前半分が桧で、後ろは松だそうです。ところどころ色の違う板で補修がされていますが、この板の補修が大変ですfukidashi3伺ったところによると、補修する部分の板の上にアクリル板を置き、その上から木目を書いていきます。そして倉庫へ行って、アクリル板を当てながらその木目に合った板を探し出し、切り出して補修するという事で、そこには数年の歳月がかかられたそうです。本当に大変な作業ですよねhiyaase1 

 舞台から向かって左の2階の席が、大旦那さんのお席(だったかしら?)で役者さんの顔がしっかり見えるお値段も一番高いお席。向かって右のお席は奇麗どころのお席。芸者さんたちのお席で、大旦那さんと向かい合って座っていらっしゃったそうです。枡席は一般席、花道横には立ち見席があり、観客の多いときにはここに詰め込まれていたそうです。天井に下げられているのは、大きなシャンデリア。開館当時は電気ではなく、ガス灯だったようです。ガスコックが見えました。ガス灯なんて趣があって素敵だったでしょうね。また、天井の広告画も華やかでとても美しいF994です。    
     
 建物は平成の大改修の際に、今後震度6、7の地震でも倒壊しないよう、梁や柱を鉄骨で補強されています。これまでの柱と今回の改修時での柱とは、区別がつくように赤と黒での色分けがしてあるそうです。それにしても震度6、7と言えば耐震等級3レベルではないですか・・?すごいですねpanda また、柱の補修には木材では杉が使われていますが、杉は中心部が赤く周りは白いという特徴があります。杉は、やはり赤身がきれいです。ここでの基準は赤身八割という事で、赤い部分が80%くらいになるように、周りの白い部分は手作業で剥ぎ取り、赤身が出るようになさったそうで、重要文化財の改修とは、私たちの想像もつかないような作業が行われているのだと思いました。gessoriまだまだあります。
2階の床と1階の天井は、貼り合わせるように2重になっているそうですが、おなじ巾になるように、また色や木目も同じようになるようにしなければならないというから驚きです。bear_panda 

 旧楽屋にも入りました。そこには衣装が掛けられ、小さな鏡台が置かれています。2間続きになっていて裸電球がひとつずつ、長い電気コードの先に付けられています。私はそこで、外に面した格子の雨戸を開け、外のあかりと一つの電球を手元に移動させながら、役者さんたちが化粧する姿F9B5を想像していました。

 2階の倉庫は普段いけないところだったのでしょう。真っ暗の中、狭い通路をついていきました。
下へ降りてさらに奈落の底へ。先ほどお話した、廻り舞台の「舞台迫り」があるところです。4人の大人で突き出た丸太を押しながら、ゆっくりと動かしていくと上に添えつけられた舞台が、ゆっくりと回ります。半分が舞台の表、あとの半分が舞台の裏になります。これによって場面が変わっていくのですね。下では人が動かしているのです。この八千代座の凄いところは、重要文化財である施設が、単に観光施設ではなく、実際に使用されているという事です。そのために耐震や消防法などの厳しい制限や条件があったそうですchiken_sorry。客席2階から梯子で上部のドアの向こうに入ると、そこは天井裏でした。今回特別に拝見させていただきました。私は上がっていませんが、写真をいただきましたよglad

             
               奈落 舞台迫り                   天井裏

​​​​​ 今回私たちは、普段聞く事のできない文化財の改修の難しさやその手間など、大変貴重なお話を伺う事ができました。
時間が限られていたのが残念です。野中社長、大変ありがとうございましたpenguin_thanks
 
 
 
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